- 新たに設置されたクリーン・テクノロジー基金(CTF)は、低炭素技術の導入と移転を促進するため資金を提供する。
- トルコでは、風力、太陽、水力、地熱発電と工業用エネルギー効率のためのCTFプロジェクトが始まる。
- トルコは、CTFを利用して銀行や産業界がエネルギー効率への投資のため市場を構築するのを支援する計画だ。
 | トルコでは温室効果ガス排出が急増している。排出が最も多いのはエネルギー部門。 |
2009年5月29日 - イスタンブール、カイロ、メキシコ・シティといった大都市で、太陽や風力エネルギーが電力源となり、効率的でクリーンな大量輸送システムが人々を目的地まで高速で運ぶ-そんな未来を想像したことはありますか。 トルコ、エジプト、メキシコは、それを単なる夢物語に終わらせるのではなく、実現に向けて動き始めています。 これら3カ国は人口増大に伴う大気汚染を削減し、開発目標を達成すべく、今後数年間に再生可能エネルギー、エネルギー効率、大量輸送に大規模な投資を計画中です。 同3カ国は、世界銀行が管理し世銀をはじめとする国際開発金融機関が運営する52億ドルのクリーン・テクノロジー基金をいち早く利用する予定です。同基金に対しては、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、スペイン、スウェーデン、英国、米国の各国政府が拠出を制約またはすでに実施しています。 同基金は、世界の気候変動に関する新たな合意に関する交渉の間、低炭素テクノロジーを拡大させるための譲許的(低利子)融資を提供する暫定措置です。 トルコ、エジプト、メキシコは、最大の効果を実現するため、クリーン・テクノロジー基金(トルコに2億5000万ドル、エジプトに3億ドル、メキシコに5億ドル)を、世銀グループや地域開発銀行の融資や民間資金などと併用する予定です。
3カ国の計画は、高度なエネルギー・運輸テクノロジーの商業化加速という同基金の目標と合致するものですと、世界銀行持続可能な開発担当副総裁キャシー・シエラは述べています。 「エネルギーと運輸に賢明な形で投資すれば、環境保護にもなり、気候変動の脅威を大きくそぐこともできます」と同副総裁は説明します。 この記事では、再生可能エネルギーとエネルギー効率の目標達成のために最初にクリーン・テクノロジー基金を利用するトルコについて紹介します。エジプトとメキシコに関しては、次週以降にご紹介します。 CTFは、トルコが決定的に重要な3つの開発課題に取り組むのを支援しますと、世銀トルコ担当局長ウルリッヒ・ザチャウは説明しています。 「その課題とは、エネルギー効率を高めると共に全体的なエネルギー生成能力のニーズを満たすことによってエネルギーの安全保障を確保すること、クリーン・エネルギー重視と温室効果ガス排出削減によってクリーン・エネルギーへの移行を支援すること、クリーン・エネルギー投資の促進と融資に対する民間セクターの関与を増やすこと、の3点です」と同局長は説明します。 「トルコ:気候変動とクリーン・エネルギーが最優先課題 トルコの温室効果ガス排出は急増しており、排出が最も多いのはエネルギー部門です、とトルコ共和国のオズグル・ペヒリバン財務次官副局長は言います。 「また、エネルギー・ニーズは高く、さらに増えつつあります」と同副局長は言います。 そのためトルコ政府は、風力・水力・バイオマス・太陽光発電といった国内の再生エネルギー源など、クリーン・エネルギー開発に力を注いでいます。また、工業部門や建物を中心にエネルギー効率の改善にも集中的に取り組んでいます。 「クリーン・テクノロジー基金はこのビジョンを実現するために重要な役割を果たすでしょう」とペヒルバン副局長は付け加えました。 5月28日には、クリーン・テクノロジー基金の1億ドルと世銀(IBRD)の貸出し5億ドルを併用するプロジェクトが世銀理事会で承認されました。クリーン・テクノロジー基金の残りの1億5000万ドルは将来、2件のプロジェクトに使われる予定です。 同プロジェクトは、風力、太陽、水力、地熱による発電と工業エネルギーの効率化に焦点を当てたものとなります。 このプロジェクトが成功し、さらに拡大されれば、トルコ政府は劣悪な褐炭の大量開発をせずに済むことになりますと、世銀のプロジェクト責任者サミール・シュクラは説明します。  | トルコは、二酸化炭素排出削減とエネルギーの安定確保に向け、風力を中心とする再生可能エネルギー拡大を図っている。。 |
目標は2020年までに2万メガワットの風力発電 トルコは、二酸化炭素排出削減とエネルギーの安定確保に向け、風力を中心とする再生可能エネルギー拡大を図っています。
現在、20カ所に満たない風力発電施設(世銀資金による1施設を含む)が、年間約452メガワットを発電しています。このプロジェクトにより政府は、風力エネルギーを、2020年までに2万メガワットという目標に近い値まで拡大することになります。2万メガワットあれば、トルコの現在のエネルギー・ニーズの半分近くを満たすことができます。 世銀によると、潜在的な風力発電能力をフルに駆使すれば、If potential wind capacity were fully exploited, 年間96テラワット(TWh)近くの発電が可能になります。これは、2大風力発電国である米国とスペインでの2008年における風力発電量の2倍以上に当たります。 さらに、トルコのCTF投資計画の下、再生可能エネルギーをより効率的に送電網に取り込むための高度な送電網ソリューションの開発が進められます。 エネルギー効率改善の余地は大 トルコは、産業界、中小企業(SME)、自治体設備、建物を対象とするエネルギー効率化プログラムにも着手しつつあります。この投資計画はCTFの資金と共に、世界銀行、国際金融公社(IFC)、欧州復興開発銀行(EBRD)の資金援助も受けています。 IFCはトルコにおいて、再生可能エネルギー、エネルギー効率、よりクリーンな生成への投資のための既存のポートフォリオを基に取り組みを進める計画です。「CTFはクリーン・テクノロジーに対する民間投資にさらなるインセンティブとなるでしょう。また、トルコのエネルギー部門のための我々の戦略と整合性が高いとも言えます」と、IFCの南ヨーロッパ・中央アジア部門担当局長シャーバズ・マバダットは述べています。 トルコの温室効果ガス排出は、世界で最も速いペースで増えつつあります。その大きな部分(77%)を占めるのがエネルギー部門で、これは、電気やガスに対する需要が拡大していることと、発電を化石燃料に大きく依存している結果です。 産業界は全エネルギーの約32%を消費しており、この割合は今後拡大すると見られます。トルコの各産業は、ほかのOECD諸国と比べ、エネルギー集約型とみなされていますが、試算によると、効率改善の余地は極めて大きいとされています。 トルコ政府は、エネルギー効率化を推進するための法律・規制上の変更を実施しており、効率的な照明、工業エネルギーの効率化、官庁のオフィスや施設での消費削減の分野でいくつかのイニシアティブが進行中です。 高い潜在性にもかかわらず、ほかの多くの国同様、エネルギー効率への投資には、認識の不足、把握されているリスク、高い業務コストなど、実に大きな障壁が立ちはだかっています。 CTFで障壁を克服 トルコは、CTFを利用して銀行や産業界が障壁を克服し、クリーン・エネルギーへの貸出を増やし、エネルギー効率への投資を促進するための市場構築を目指しています。 CTFの支援の下、エネルギー効率化プロジェクトにおける高リスクの側面を克服し、業務コストを引き下げる目的で設計された新たな金融ビジネス・モデルが導入される結果、長期的にエネルギー効率への投資が加速することが期待されています。 同プロジェクトは、民間セクターに資金を仲介するに当たり国内の銀行を利用することを目指しています。これは、「プロジェクトの枠にとどまることなく経験を普及させる」ことを可能にすると期待されているモデルですとシュクラは説明します。 シュクラはまた、利子の低いクリーン・テクノロジー基金から資金を調達することが、最新の再生可能エネルギー・テクノロジーとエネルギー効率化への投資を投資家にとって魅力的なものとするために決定的に重要だと言います。CTFからは、こうした取り組みを遂行する銀行のイニシアティブに、切望されている資金を提供するものですとシュクラは付け加えました。 |